次の文章を読んで後の問い(問1~問3)
に答えよ。なお、設問の都合で本文の段落に
番号を付してはいない 😉 

 
 

=登場人物紹介=
 
・まなべ農園王国
(さつまいもが全てにおいて
 優先される国。かつては多様な生き物などいろいろ
 暮らしていた。現在は、さつまいもしか
 暮らしていない様子。昔は芋といえば、
 じゃがいも、もしくはさつまいも
 のことをさしていた。現在、この国で”芋”は、
 さつまいも一択である)
 
・まなべ
(まなべ農園王国の国王)
 
・芋民
(まなべ農園王国に暮らす民)
 
・じゃがいも
(絶滅したはずだが….)
 
・ポテチ
(じゃがいもを薄くスライスして
 フライにして塩をふって食べる。
 かつての銘菓。じゃがいもが絶滅した今、
 ポテチは食べられるはずがないのだが…)
 
・私
 (全てを記録する義務がある)
 
 
=前回までのあらすじ=
 
冬にビタミンCを効率的に摂取できる
食べ物は何か、という議題で芋会議が
開かれた。何か、と問われても答えは
決まっていて、「さつまいも」しか
国王は認めないであろう。
 
科学的なデータを持ってきて、
さつまいもよりみかんの方が
ビタミンCが豊富に含まれている、
ことをプレゼンしても、
結局は、さつまいもが答えなのだ。
 
この国ではそういうルールなのである。
 
そんな状況の中、

「ビタミンCを摂取したければ、
 ポテチを食べればいい。」
 
とポテチ派の復権を望む声が
ちらほら聞こえてくるのであった。
 
 
=今回の話= 
 
 
国王まなべ
 
『おい、ポテチ派がクーデターを
 起こそうとしている噂を聞いた。
 この国にじゃがいも民が生き残っている
 はずがない。
 
 しかし、
 ポテチの名を知っているということは、
 じゃがいも民が生き残っているに違いない。
 
 ポテチは絶対に復活させてはならない。
 
 緊急の芋会議を招集する。』
 
こうして緊急の芋会議が招集された。
 
芋会議には、芋民から選ばれた
代表者が参加することになっている。
 
諸君の国でいうところの
国会議員みたいなものだ。

今回の会議では、
 
ポテチ派の復権を許すな党
 
から数名が会議に参加した。
 
会議は一日20時間くらい続くので
みんなお腹が減る。
 
睡眠時間も減るので、
イライラもする。
 
肌が荒れ、ビタミンCも不足し、
夜食に、こっそり
ポテチを食べる者もいた。
 
「ビタミンCを摂取したければ、
 ポテチを食べればいい。」
 
一体、誰が言い出したのか分からないが
 
「あながち間違いじゃないよ」
 
と芋議員の一人はこっそり教えてくれた。
 
 
闇市場では、ポテチが高値で
取引されている。
 
 
芋議員は金持ちなので、
ポテチも余裕で購入できる。
 
ポテチを食べていることが
国王にバレると大変だ。
 
噂では、

干し芋の刑 
 
にされるらしい。

干し芋は美味しいから
いいじゃん。
と思ったら、大間違い。
 
干し芋にされてしまったら
子孫が残せないのである。
 
芋は芋として暮らし、
毎年毎年芽を出し、
*性欲*を広げてゆく。
 
芋にもたくさん種類があり、
芋民の中でも派閥争いが頻繁に
発生している。
 
干し芋の刑に処されれば、
 
派閥の勢いが衰退するのである。
 
こう噂していると早速、
干し芋の刑にされている芋が
発見された。
 
あぁ、あいつだ。
 
私にこっそり
 

「あながち間違いじゃないよね」
 
って教えてくれた芋議員だ。
 
わ、わたしは、
国王に密告なんてしてない。
してないよ。
ほんとだよ!!
 
 
なにはともあれ、
どんまいだ。
 
干し芋は私が食べることにする。
 
さて、一日20時間も開かれている
芋会議はなにが話されているのだろう。
 
本来であれば秘密の会議で
一般公開されることはない。
しかし、
明日は共通テストもあるし、
私には全てを記録する義務が
あるのでこの際、
特別に公開したいと思う。


 

 

 
芋議員A
「ポテチは、
 我々の国から姿を消したはずでは!?」
 
 
芋議員C
「いいえ!噂によれば、X地域にじゃがいもの残党が
 暮らしており、そこでポテチが製造され、
 闇市場に流通しているとのことです。」
 
 
国王
「よし!では、X地域に視察団を派遣する。
 そのために、視察団派遣会議を開く。」
 
 
〜視察団派遣会議〜
 
国王
「これより、X地域に視察団を派遣する
 ための会議を開く。」
 
芋議員A
「国王!X地域に視察団を派遣するための会議
 の前に、視察団を視察する視察団視察派遣会議
 を開くのはどうでしょうか?
 
 視察団とはいえ、ポテチをこっそり
 食べる輩がいてもおかしくはありませんので。」
 
 
国王
「それは名案だ!
 では、まず、視察団視察派遣会議を
 招集する。芋議員A、
 君にプレミアム芋会議に
 参加する権利を与える。」
  
 
〜視察団視察派遣会議〜
 
 

国王
「視察団派遣する前に、視察団を視察する
 視察団視察派遣会議をここに開く。」
 
芋議員C
 「国王!
 視察団視察派遣の前に、
 視察団を視察する者が
 ちゃんとした者かを審議する、
 
 視察団視察派遣審議委員会を
 開催してはどうでしょうか?」
 
国王
「それは素晴らしい案だ!
 視察団を視察する奴らもポテチに
 毒されている可能性があるからな。
 
 まずは、審議から始めるのがよかろう。
 君にもプレミアム芋会議へ参加する権利を
 与える」

*プレミアム芋会議*
重要な発言をした芋議員には
プレミアム芋会議に参加する権利が
与えられる。今回の話にはこれ以上、
プレミアム芋会議は出てこないので、
安心してほしい。
**************
 
 
〜視察団視察派遣審議委員会〜
 
 
国王
「これより視察団視察派遣を審議する
 会議を開催する。略して、会議と呼ぶ。」
 
芋議員D
 「国王!会議の前に、
 今から行われる会議がなんのための会議か一度
 整理する会議前の会議を開くのはどうでしょうか?
 このままだとなんの会議が分からなくなります。」
 
 
国王
 「うるさいな!
  会議前の会議なんていらないんだよ!
  会議に懐疑をかけるな。
  俺が会議を開くといったら
  会議を開くんだ。それが全てだ!」
 
 
芋議員D
「しかし…」
  
 
芋議員E
「やめとけ。干し芋にされるぞ。」
 
 
国王
「よって、私はこれから別の会議に出席するので
 この会議からは席を外す。
 君らだけでこの会議を成功に導いてほしい。
 いい報告を待ってる」
 

 

 

 
 
芋議員A
「ふぅ。やっと会議が始まった。
 えーと、一体なんの会議だっけ?」
 
 
芋議員F
「視察団派遣会議だよ!」
 
 
芋議員C
「違うよ!
 視察団視察派遣会議審議委員会だ」
 
 
芋議員A
「いやいや、確か、
 視察団視察派遣会議だよ!」
 
 
芋議員F
「あ〜、イライラしてきた。
 こっそりポテチ食べよ。」
 
 

 

 

 
 
こんな具合で芋会議は進行していた。
 
みんな真面目に働いている。

ポテチを撲滅しようと
議員たちは、真面目に
会議を開いているのだ。
 
  
会議が会議を呼び、
会議に懐疑がかけられ、
もう一体、なんの会議が
わけが分からない。
 
 
私もそうだ。
 
 
諸君もイライラしてきただろう。
 
 
私もイライラしてきた。
 
 
イライラすると
体内のビタミンCが消耗される。
 
 
ビタミンCは消耗品だ。
 
消耗したら補給せねばならぬ。
 
そう。
 
ポテチを食べて。
 
 
 
-問題文終わり-

(K.Manabe『さつまいもの復権』による)

 

訂正:
問題文にミスがあったので下記の通り
訂正する。

 
訂正前:
芋は芋として暮らし、
毎年毎年芽を出し、
*性欲*を広げてゆく。 
 
↓ 
 
訂正後:
芋は芋として暮らし、
毎年毎年芽を出し、
*勢力*を広げてゆく。
 
 
 
問1
干し芋の刑に処された芋は次のうち
どれか。a~cの中から適当なものを一つ選べ。

a.芋議員A
b.芋議員B
c.芋議員C
 
 
問2
イライラするとなにが食べたくなるのか。
a~cの中から適当なものを一つ選べ。
 
a.ポテチ
b.干し芋
c.みかん
 
 
問3
視察団視察派遣会議審議委員会は、
何をする委員会なのか?と聞かれた
諸君の心境のうちもっとも近いものを
a~cの中から適当なものを一つ選べ。
 
a.そんなん分からん
b.イライラする
c.視察団視察派遣会議審議委員会
 って言いたいだけやろ
 
 
共通テストは以上。
 
解答と解説は後日。