You are what you eat.そうなのだけれども、
そのwhat you eat はタネからできていて、つまりは、「種子が消えればあなたも消える」
東京外国語大学の特別講義を聴講しました。
先日は東京大学で「不登校児の未来」というテーマ。
今回は、
「社会科学で考える種子と私たちの関わり」
というテーマです。
タネ、種子、種、seeds、…
食事の時、食べ物に思いを馳せるのは好きです。
でも、タネのところまで思いを馳せていたかというとそうではありませんでした。
だから、もっとタネについて知りたいと感じ今回の講義に参加しました。
講師は、龍谷大学経済学部教授の西川芳昭先生。
国内外のフィールドで農家の種子調達や品種管理の調査研究を手がけておられます(著書より引用)研究室に閉じこもるのではなく、
現地に足を運び、農家さんのお話を聞くスタイルの研究をしておられる方です。
本を読むこと=CDを聞くこと
著者さんの話を直接聞く=ライブに参戦する
音楽に例えればそのくらいのインパクトがあるものだと思います。
タネについてももちろん知ることが出来ました。
でも何よりの収穫は、西川先生の雰囲気というか
なんというか、懇親会であったり、帰りの電車で話したりする中で
「こういう人が本を書いているんだ」
という視点を得られた事です。
「種子が消えれば あなたも消える」
先生が今年の9月に出版された本のタイトルです。
農家さんの間で話題になっている2018年の種子法廃止。
その影響面についても書かれています。
ですが今回の講演で気付いたのは
「タネってすごい」
と改めてその奥深さに触れられたことです。
今日食べたお米。
目の前にお米があるということは、
そのお米が誰かに育てられたからです。
誰かが育てたということは、お米のタネを蒔くことが出来たからです。
タネを蒔くことが出来たのは、お米を食料だけとして残したのではなくタネとしても残しておいたからです。
そしてそのタネは大元を辿ると、「中国中南西部(諸説あり)」が原産地であったるするわけです。
日本にやってきたのが2,500年前。
当時の人々が
「やば、米むちゃくちゃうまいやん。全部食べてしまえ!」
となっていたら、
今の僕たちがお米を食べることは無かったでしょう。
そして、米自身も年月が過ぎるうちに
「僕らの子孫を残すのを人間に任せた!」
といって、人間と共に生きる方針をとりました。
想像するにお米会議が開かれたと思います。
〜遠い昔、遥か彼方の田んぼで〜
コメ長老「ワシら、中国から日本にやってきたやん?もともとさ、ワシら自身で花を咲かせて実をつけタネをこぼすことで、生き延びてきたやん?どないする?
ワシらがどんどん美味しくなるように人間達が交配してくれてるやん?美味しくなるんはええんやけど、生存機能が落ちてきてることは確かやんな。
実がなってもそれをタネとしてすぐにこぼしてしまうことも出来なくなった。
要は、人間さんに全部食べられてしまったらワシわ絶滅するねん。でも今のところ、全部食べずに次の年にタネとしてワシらを大地に蒔いてくれている。
もし逃げるとしたら今やで。」
コメ元老院「まぁ、えんとちゃいますか?もともと中国生まれですし、日本だけでなくて他の仲間の海外に遠征にいってうまくいってるみたいやし。旅できて楽しいですわ。世界にはいろんな人がおって人間と生きるってのも面白いんちゃいますか。」
マスターコメ「そうじゃのう。よし、これからワシらがこの地球で存在し続けるために選んだパートナーは人間じゃ!この決定に納得できんものは、逃げても良いぞ。ただし自己責任で生き延びるのじゃ。かと言って、ワシらについてきても成功するかはわからん。各々が自らの頭で考え選ぶのじゃ。」
〜時は、2017年、日本という国で〜
コメ長老「ワシらの祖先が人間という生き物を選択した結果、むちゃくちゃ美味くなったのう。美味しい美味しいと言って食べる人間の笑顔は素晴らしいぞ。」
コメ評議員「ホンマですな。品種もたくさんできてそれぞれに違う味わいが生まれて面白い世の中ですわ。コメというと日本古来のものだと思いがれがちじゃが←(謎の日本語w)、決してそうではない。コシヒカリ一つとっても、ご先祖様にフィリピンの血が混じってたりインドの血が混じっていたり、、、ワシらは本当に旅してきた。これはコメだけではなく、他の野菜や果物にも言えることじゃな。
この日本という国で、繊細な味覚を持つ日本人の元で、各々が進化してきた過程にあっぱれじゃあ!」
以上コメ物語でした。
というわけで本当に奥深くて面白いです。
普段食事をするときも
「あぁ、これってもともとタネから来てんねや」
の視点を取り入れて見てはいかがでしょうか?
きっと、
同じ食事でも一味も二味も違った美味しさに生まれ変わることでしょう。
食べるって生きるってことだなと改めて感じました。
そしてその食べ物。農家さんも自分が作りたいものを作り
消費者も自分が食べたいものを選ぶ権利。
その食べ物がどんな物かを知る権利。
これは、100年後も2,000年後も
変わらずに在り続けてほしいものです。
本当にありがとうございました。
=オススメ本=
・種子が消えれば、あなたも消える: 共有か独占か
西川 芳昭 著
http://amzn.asia/cwObGlK
・自然栽培 ガンが消える愛し方
木村秋則 監修
http://amzn.asia/5xy8mhq
・自然栽培 vol.4 タネの秘密
木村秋則 監修
http://amzn.asia/20QbGAi
上記の自然栽培という書籍で西川先生取材の記事も掲載されています。僕の知り合いのライターさん(加戸さん)が入念に取材し調べ書かれています。とてもわかりやすく、読者の方に寄り添った文面だと思います。僕もそんな書き手になりたいです。
加戸さんとはなかほら牧場で偶然あった仲で、ご縁って不思議だなぁと思う今日この頃です。
追記:
・今回企画してくれた外大生も20歳前後の若者。(僕も若いですがw)
農業により確信が持てた有意義な時間となりました。
写真は、先生の著者とりんご(木村さんが育てた自然栽培のものを頂きました。)
本も紙でできているから本を辿れば木。その木も本を辿れば・・・
そして、このりんごももちろん元を辿れば・・・
*更新情報*
2022/08/13
古い情報を編集しました。
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