芋焼酎用途として品種開発された
「サツママサリ」。
焼き芋はどのような味がするのか
検証しました。

サツママサリ 
 

=この記事の要約=
 
芋焼酎の原材料に使われる「サツママサリ」。
焼き芋は、どのような味になるのか?検証してみました。
芋焼酎にしか利用されないのはもったいない!
くらい焼き芋は美味しかったです。
 
長野県標高900mの畑で栽培し、
3か月ほど熟成させ、ストーブの上で石焼き芋に。
重量感ある食べ応えと適切な甘さの味わいです。
収量多く生産者にもオススメ。
 
=要約終=
 

はじめに

 
芋焼酎への加工を利用目的として
品種改良されたお芋があります。
 
有名どころは、
「コガネセンガン」という品種です。
 
芋焼酎作りに向いているからといって、
 
焼き芋に不向きなわけではない
 
ことは数年前に身をもって実感しました。
(参考記事は文末へ)
 

なぜ、焼き芋用として出回るのが少ないのか。
 
他の芋を芋焼酎にするのは向いていないからです。

芋焼酎需要に応えるための最適解として
芋焼酎の品種が存在すると考えます。
 

たとえるなら、

ディフェンスも上手くて
シュートもうまい。
ボール奪取能力もナンバーワンで
得点王でもあるような
優秀なサッカー選手でしょうか。
 
その代表的なのがコガネセンガンです。
 
芋焼酎のラベルを観察すると
「コガネセンガン使用」の文言を
見つけることがあります。
 

サツママサリの話

今回はコガネセンガンの話ではなく、 
コガネセンガンの後継者として
品種改良された、
 
「サツママサリ」
 
というお芋をご紹介します。
 
なぜ後継者が必要だったのか。
美味しいなら別に後継者などいらないのでは。
確かにその通りです。
 
とはいえ、芋を安定的に供給する側面から
味だけではなく、栽培特性も加味する必要があります。
病気や天候不順にも強い品種がいつの時代も
必要とされています。
 

たとえば、その昔、
ヨーロッパでジャガイモ飢饉が起こりました。
みんながみんな同じ品種を作っていたので
ある病気が流行った時に、
その病気の被害を避けることができなかったのです。
 
今ある品種に満足せず、
日々品種改良をおこなっている現場の方々には
感謝を申し上げたいと思います。
 
私が美味しいお芋をお客様に届けられるのも
こうした方の尽力があってこそ。
 
美味しさを決める重要な要素は
品種といってもいいくらいです。
 

コガネセンガンの焼き芋は、
 
香りがなんともいい匂いです。
食感は、
しっとりにもほくほくにも仕上がります。
舌触りは意外と滑らかです。
 

コガネセンガン

コガネセンガン

ただ、病気に弱いです。
形もボコボコしているので
見た目から敬遠されがちです。
 
私の畑でも今年は
コガネセンガンうまく栽培できませんでした。
 
一方、
サツママサリの方は、
丸々と綺麗な状態でできました。
しかも他の芋と比べて
重量感が違います。
 

サツママサリ

 
デンプンの詰まり具合が
手にとってわかります。
 
同じ大きさの芋を比べても
明らかにサツママサリの方が
重いです。
 
コンテナに芋を詰め込みと
明らかにサツママサリの
コンテナだけ重くて重くて
大変でした。
 

焼き芋の味わいは…?

焼き芋にしてみます。
 
3ヶ月以上、熟成させたサツママサリ。
皮の色は、白いです。
 

サツママサリ

焼き上がり前↑
焼き上がり後↓
 

サツママサリ

中は白ではなく、黄色、
黄金といってもいいかもしれません。
 
その点、コガネセンガンは白です。
 
焼いている途中に蜜を出すのが
最近の品種の特徴でもあります。
 
ただ、サツママサリは、蜜を出さず、
蜜出しときゃえんやろ
ブームに流されていない芋です。
 
味わいを四字熟語で表すとしたら
  
質実剛健
 
これ以上の言葉は見つかりません。
 
甘さいうのであれば、
毎日食べたい甘さです。
 
正直、普通に見かけるお芋で
甘くない芋は令和時代には存在しないと思います。
 
ポテンシャルを引き出す調理をすれば
必ず、甘さを引き出せるものが多いと信じています。
 
勢いよく食べすぎると
喉に詰まります。
 
胸がくるしくなって、
お腹がぱんぱんになる
しあわせを感じるいも
 
冷えても味わい深い。
噛めば噛むほど旨味が出てきます。
 
ボディがしっかりしています。
デンプンの感じがそのまま残ってる
イメージですかね。
 
かといって、
じゃがいもチックに甘さがないかといえば
そうではなく。

 
 
 
 
 
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それでは最後にギャラリーをお楽しみください。
ご一読いただきありがとうございました。
 
比較表

品種(登録年) コガネセンガン(1966年) サツママサリ(2012年)
栽培特性(保存性も含む)
食感 (意外と)なめらか もぐもぐ
甘さ 自然な甘さ、上品 甘さ控えめながらもしっかり
香り いい匂い、栗のような 芋らしい

 

 

追記

コガネセンガンの味わいで
なめらかの前に「意外と」とつけた理由。
コガネセンガンの名前からくるイメージが
ゴツゴツしててモゾモゾしてそうな
食感があまり良さそうではなかったから。

参考資料

サツマイモ新品種「サツママサリ」の育成,農研機構