前回に引き続き、
第三回「世界標準の戦争と平和」に参加したので
その感想を書きます。
 
 
今回取り上げた章は、
 
第三章「安全保障イコール軍事」という誤解
p138~175
 
です。
 
 

 
私も以前まで、
 
「安全保障」と聞いただけで
 
軍事力が強い国が安全保障も
ちゃんとしている国だ、
 
という認識でした。
しかし、これは大きな誤りでした。
 
理由は簡単で、
 
いくら強い軍事力
(強い戦車、戦闘機、兵隊…)
を保持していても
 
国民が飢え死にしそうな
状況では国民の安全は
保たれていない、
ということだからです。
 
国民の安全を保障する
 
というのは、何も
兵隊さんがどこかの国からの
攻撃を守ってくれている、
 
というだけではなく、
 
飢え死にする心配がない
治安が保たれている
社会保障が充実している、
 
などなど、
 
私たちが安心して
安全に生活ができる状況が
保たれていること
 
これが
安全保障(セキュリティ)
です。
 
このセキュリティを
脅かすものが
 
脅威と呼ばれるものです。
 
昨今ではコロナウイルス
が有名です。
 
ウイルスだけではなく、
 
気候変動も脅威です。
 
異常気象で作物が育たない、
となれば腹減って
飢え死にする可能性が高まります。
 
セキュリティを保つために
重要なものは、次の3つです。
 
 
1.経済
2.外交
3.軍事
4.メディア、情報
 
 

 
経済でどのように
国家の安全を保障するかと言えば、
 
 
「私の国を攻撃すれば
 あなた国も損害を被るよ :mrgreen:
 
 
という関係を外国と結ぶことです。
 
相互依存を強めることによって
敵国の攻撃意欲を
減退させるのです。
 
グローバル化の進んだ現代において、
 
製品が完成するのに
一国内で済むものはほぼありません。
 
食料もそうです。
 
戦時中の日本は
食料政策を間違えていました。
 
飢えが日常茶飯事で
自国民さえ満足に
養うことができていなかった
からです。
 
少し話はそれますが、
ちょうど、手元に、
安冨歩(著)
「満州暴走 隠された構造
 大豆・満鉄・総力戦」角川新書(2015)
 

 
面白いことが書かれてあったので
ご紹介しておきます。
 
安全保障を考える上で、
自国の地理的条件を元に
できることとできないこと
(不得意・得意)
を知っておくのは
とても大切です。
 
私は、
どう考えても
戦争には向いていない国の
一つが日本だと
思います。
 

石油がないから
これだけでも十分な
理由になりえますが、
もう一つ付け加えるなら、
日本国内だけでは
十分な食料を確保できないから
 
のも挙げられます。
 
満州事変を起こした張本人
石原莞爾は、
このことを知っていました。

彼は、陸大卒業後、1923年からドイツに留学します。
そこで第一次世界大戦というものがどういうものか、
つまり、総力戦とはどういうものかを研究し、
非常に深刻な衝撃を受けました。
 
なぜか。日本にはそもそも地下資源がないし、
科学力・生産力も低いので、
最初から総力戦を戦えないのです。
 
そこで彼はこう考えます。こうなったら道は
二つに一つしかない。日本を総力戦が
できる国に作り変える。それができないなら、
「軍備を放棄するを有利とす」。つまり
戦争はハナから諦める。

-p118 安冨歩(著)
満州暴走 隠された構造
大豆・満鉄・総力戦
角川新書(2015) より

 
最終的に石原莞爾は、
日本を総力戦ができる国に作り変える、
道を選びます。
そこから満州を領有へ向かい始めます。
 
石原に近かった、永田鉄山、
永田の陸大同期、小畑敏四郎。
 
この三人は、
 
頭では、
 
日本が地理的に総力戦
には向いていない
 
ということを理解していました。
 
それなら、戦争を諦める
道へ進めばよかったのに
 
と私は思うのですが、
やはりエリートは頭の回転が
違うのでしょう。
 
総力戦に向いていないのなら
領土を拡大して総力戦
にできる国にしてしまえばいい
 
総力戦に向いていないのなら、
食料がそこを尽きる前に
戦争に勝ってしまえばいい
補給が必要になる前に、
戦闘を終わらせてしまえばいい
短期決戦・必勝型
負けないから負けた時のことは
考えない。
(現代に当てはめるなら、
 原発は絶対安全だから不測事態が
 おきた時のことは考えなくて良い)
 
という考えを採用してしまいます。
 
 
嘘みたいな本当の
話です。

 
こうして領土拡大していった
結果、日本はズタボロになって
敗戦を迎えるわけであります。
 
 
自国民を飢えで
苦しませてしまった経験から
戦後は、
 
そのようなことがないように
政策がとられてゆくことになります。
 
戦後間もない頃はさておき、
 
少なくとも、
 
自国民を飢えの恐怖から
遠ざける
 
という点において
日本の安全保障政策(食べ物)は
成功していると思います。
 

 
食料自給率が低くなったとはいえ、
 
1965年73%

2018年37%
 
 
コロナで危機的状況な
現時点(2020年4月)でも
国内で食べるものは不足して
いません。
 

給食で消費されなくなった
牛乳などは飲む人が減ったせいで
有り余っている状況です。
国が率先して「牛乳のめ」
と言っているくらいです。
 
余談ですが、この牛乳を
せっせとバターに加工すれば
いいのに、と思います。
 
コロナがはやる前から
食品は有り余っていて
食品ロスも社会問題化
しているくらいですから
十分すぎるくらい
食べ物は確保されている時代に
なったわけです。
 
*食べ物に関してコロナ影響が出始めるのは
夏頃だと思います。また
国連機関は、「世界的食料危機の恐れ」
という声明も出しています。
一方、日本政府は、
「十分な食料はある、心配するな」
と言っています。
*
 
 
 
ちなみに、戦前は、 

 
▼戦前の39年度の自給率は86%で供給熱量は2075キロカロリー、
戦後の46年度は88%で1448キロカロリーとする
全国農業共済協会http://www.nosai.or.jp/mt6/2019/08/post-5348.html
より

今より
食料自給率は高いですが、
 
クライシス度合いは
高かったと思います。
 
 
下がってしまった食料自給率を
もっと上げなければならない
 
という意見は
多くの共感を呼ぶ合言葉
みたいなものです。
 
2014年に内閣府によって
行われた「食料の供給に関する特別世論調査」
によれば
 
「将来の我が国の食料供給についての受け止め」

という質問に対し、
 
「不安がある」と答えたのは、
83%にものぼります。
 
私も不安があるといえば
あるのですが、
 
それは食料供給に関してではなく、
もっと細やかな、美味しいものが
なくなってゆくという不安です。
 
味の多様性がなくなることを危惧
しています。
 
味は、野菜の品種によって
大半が決まります。
 
日本には各地に在来品種と呼ばれる
その土地風土にあった
作物があり、そこで生まれる
料理がありました。
 
また作物の来歴を調べることで
外国から日本に
どのように文化が広がって行ったのか
それがわかると言うものです。
 
タネは人間とともに旅をしますから
タネには人間の歴史が刻み込まれている
のです。
 
このようにローカルな品種というのは、
味だけではなく、
文化的側面価値の部分もあります。
 
人間の腹を満たすだけではなく
芸術のように、
こころをも満たしてくれる側面が
あるのです。
 
遺伝資源として活用する
こともできます。
 
飢えからの解放(グローバル化食)で
失われていったもの
それは、
 
食べ物の文化的側面
の価値ではないかと思うのです。
 
そういった意味で、
 
(安心安全で)食べ物を食べられる
セキュリティの確保は
成功している
(人間として生きて行くための
 最低食欲を満たす)が、
 
その陰で失われていったもの
(文化的な側面)もある、
 
というのが私の現状分析です。
  
 
腹が減ってたまらない
事態が起こる可能性は
ゼロではないですが
そのリスクは低いと考えています。
 
理由は、
 
冒頭に挙げた、
 
国と国との
相互依存関係を構築して
きたからです。
 
今や、野菜のタネの
多くが海外で採種されています。
全体の約9割。
 
日本の種苗会社も
農家に良質なタネを安定的に
供給するために海外で
タネをとっています。
 
そしてそのタネを輸入し、
国内の農家さんへ供給したり、
輸出したりしています。
 
(輸出するタネが
 どこで採種されたのか不明ですが) 
 
種苗をめぐる情勢(2018)

農水省の資料によれば、
 
2017年、野菜タネの輸入量は、
全体で、4,089トン。
 
アメリカからは、1,423トン。
中国からは、339トン。
イタリアからは、922トン。
 
などなど、諸外国から
タネを輸入しています。
 
私の手元にあるタネ、
例えば、ミニトマトのタネの生産地は
「タイ」となっています。
 
ホームセンターなどに置かれている
野菜の種袋の裏側を見てみてください。
 
生産地と書かれた項目が
あるのでそこを見れば
どの国で採種されたのか一目瞭然です。
 

これは中国採種

 
ちなみにタネは
輸出もされています。
 
輸出量は全体で774トン。
中国へは、332トン。
アメリカへは、33トン。
 
 
このように、

いくら自国で食料を自給する
といっても肝心のタネは
海外に依存している、
のです。
 
ちなみに、栽培に必要な
肥料などもそうです。
*文末に関連記事* 
 
 
もっと身近な食べ物で
みてみましょう。
 
みなさんが大好きな
和菓子に欠かせない餡子。
 
これは小豆が原料となっている
わけですが、
北海道産だけではなく
カナダやアメリカなどの海外で
栽培された小豆も使用されています。
 
小豆にも餡子に向く品種があり、
メジャーどころでいえば、
エリモショウズという小豆です。
 
これが面白くて、
 
エリモショウズは
北海道で育成された
小豆です。
 
その小豆がカナダやアメリカで
栽培されているのです。
 
餡子欲を満たすため
国内だけではなく海外の農家
にも小豆を栽培させることで
安定的に餡子を供給できる
関係を築き上げているのです。
 
もう一つ、
かぼちゃ。
 
この時期は、
国産のかぼちゃが出回らない
時期です。
 
出回らなければ
食べなければいい
 
ならないのが
食欲です。
 
この時期でもかぼちゃが
食べられるようにニュージーランドから
かぼちゃを輸入してくるわけです。
 
これもまた、
日本の種苗会社が開発した
日本人の舌にあったかぼちゃ品種を
ニュージーランドで栽培して
それを輸入しています。
 
実際、
ニュージーランドのかぼちゃは
美味しいです。
 
そりゃそうです、
元が日本でも栽培されている品種の
かぼちゃなのですから。
 
上に見たのは
小豆依存関係、
かぼちゃ依存関係、
ですが
どちらも大切な関係にあるといえます。
 
ちなみに、ニュージーランドは
海に浮かぶ島国シーパワー国、
日本とは正反対の気候などを
考えれば、
シーパワー同士で手を組む
のはうまく行くと思います。
 
 
自国内だけで食べ物を
供給するだけが
セキュリティが保たれる
ことを意味しません。
 
小豆、かぼちゃの例で
見たように、
自分たちの舌にあった
ものを海外で栽培し、
それを買って輸入すれば
生産国からしたら重要な
日本は重要な貿易相手国となります。
 
つまり、
 
このような食べ物依存関係で
成り立っている国が
仲を悪くすれば、
 
例えば、アメリカ、カナダ
と不仲になれば、
 
日本国内では、餡子欲を
満たせない国民が怒り狂うかも
しれませんし、
アメリカカナダでは
せっかく小豆を栽培して
それを金で買っていてくれた
日本がいなくなれば、
小豆農家は破綻してしまいます。
 
ですから、
 
あなたの国を攻撃すれば
 食っていけなくなる、
  経済的にも食欲的にも
 
という依存関係を構築して
いったのが日本の安全保障政策
ともいえます。
 
繰り返しになりますが、
 
この点に置いては成功していると
私は思います。
 
 
余計なお世話かもしれませんが、
もし、トマトのタネを
全て国内で賄うとすれば
どのくらいの土地が必要なのか
試算して見ました。
 
結論から言うと、
1.5ヘクタールの面積で
3万100株のトマトを栽培し、
その全ての株から収穫できる
トマトを食べずに
タネをとれば
(食べてもいいが、種を採った後に)
 国内のトマト需要はまかなえます。
 
計算は次の通りです。
2012年年間のトマト生産量は
722,400トンです。 
一株から収穫できるトマトを
4kgと仮定すると、
722,400トンのトマトを収穫するには、
1億8千60万株必要になります。 
一粒のタネから一株のトマト
が成長します
(トマトは脇芽からも増やすことが
 できるが今回は考えない)
つまり、 
1億8千60万株のトマトを
栽培するには、 
1億8千60万個のタネが必要となります。
トマト一果実には、200粒の
タネが入っていて、
一株から30個の果実が収穫できる
とするのなら、
3万100株のタネ採り用トマトが
必要となります。
10アールあたり2000株の
種採り用トマトを栽培するとしたら、
3万100株を栽培するのに
必要なスペースは、
1.5ヘクタール
と計算できるわけです)
 
 
もし、海外で生産している
トマトのタネが
不測の事態により
輸入できなくなったら
1.5ヘクタールの畑で
3万株のタネ採り用トマトを
栽培すれば事足ります。
 
これこそが自給する
という本当の意味です。
 
 
ただ、
仮にこれが可能
(トマトに限らず全ての作物で)
だとしても
 
 
「自国でタネも供給できるように
 なったから外国から種を輸入
 する必要もなくなった」
 
めでたしめでたしとは
ならないです。
 
本当に真の意味で
自給してしまったら
世も末です。
 
諸外国との相互関係が
崩れ去ってしまっている
ことを意味しているからです。
 
 
自給に走りすぎるのも
よくないのです。
 
依存と自給のバランス。
 
これがとても大切だと思います。
 
依存関係を始めるにあたり
私は、さつまいも外交を
推奨します。
 
諸外国(X国)からの要人を
焼き芋パーティーに招きます。
 
そこで
 
さつまいもの美味さに
感動してもらいます。
 
要人は、
このうまい食い物を
我が国の国民にも食べさせたい、
 
ということで
 
日本からさつまいもを
輸入するようになります。
 
そして、
 
日本とX国との間で
さつまいも同盟が結ばれ
めでたしとなるのです。
 
とはいえ、問題もあります。
 
日本で開発された
さつまいも品種Aを
をX国で栽培されるように
なればどうでしょう。
 
さつまいもは
優秀な作物ですので
人間の都合に関係なく
自分の勢力を伸ばすことに余念が
ありません
 
人間にとって国境が大事でも
芋にとってみれば、
地球の土地
 
という認識でしかありません。
 
つまり、
 
日本から諸外国に
輸出しなくても
 
外国でさつまいもを
栽培できるようになれば
日本から輸入しなくてもいいのです。
 
さらに、
 
日本からY国へ輸出していた
さつまいもより
X国で生産され始めた
さつまいもがY国へ
輸出され始めたらどうでしょう。
 
もしかすると安い値段で
売られているかもしれません。
 
そうなると日本からY国へ
輸出していたさつまいもは
打撃を受けます。
 
元は、仲良くさつまいも
外交でうまくいっていたはずなのに
知らぬ間に
芋王国の座を奪われているのです。
 
芋だけに限らず
日本国内で育成された品種
(10年くらいの年月、税金も
 投入されています)
 
が外国でコピーされて
売られているとすれば
損です。
 
多分、
日本で開発される品種は
優秀なのだと思います。
 
不味かったら
外国でわざわざ生産することは
ないでしょうから。
 
わかりやすくいうと
 
誠心誠意込めて作った
音楽を勝手にCDにダビングされて
売られているようなものです。
 
音楽を作成した元の人には
お金は入ってこず、
ダビングしてCDを売っている人が
お金を儲けている、
というのは、
おかしな話です。
 
音楽を作成した人の著作権を
保護されねばなりません。
 
 
しかし、現実
いちごや、ぶどう、さつまいも
の一部の品種は外国で
CDダビングされています 😎 。
 
 

食べ物は国境を超えている
グローバル化が進んでいる、
と今更いうまでもありません。
 
 
少し余談が過ぎました。
 
第三章最後の
 
p171③経済は国境をまたぎ国は無力
p174④低劣度紛争が主流に
 
も合わせて感想を書きたいのですが
お腹も減ったので
一旦ここで終わりにします。
 
 
講師烏賀陽さん、事務局見城さん、
  
この度はありがとうございました。
 
また来月も宜しくお願い致します。
 
 
おしまい
 
ダークホース

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