イノシシCさんとイノシシDくんは

仲良くデートしていました。

秋の深まりとともに
美味しいカボチャや栗やさつまいもが
畑に広がっていたからです。

いつものように、

今日も明日も食べることが

倖せでした。  

そして、今日。

秋空のもと、

美味しそうなかぼちゃ畑にやってきました。

これは美味しいそうねと言って
一緒に食べていました。

その時です。

バン!

鉄砲の打つ音が聞こえました。

イノシシDくんは撃たれて死にました。

Cさんは急いで逃げてお家へ帰りました。

家に帰ってDくんとお昼寝するのが日課でした。

でも、

もうそばにいてくれるDくんはいませんでした。

それ以来、
Cさんはお家で引きこもってしまいました。

一方、
撃たれたDくんは人間によって食べられていました。

「そういえば、最近、
畑にイノシシこなくなったね!」

「そうね!
このイノシシが最期のイノシシだったのかもしれない」

Dくんが撃たれて以来、
人間が管理する畑という場所には

イノシシがやってきて
作物を食べることはもうなくなっていました。

Cさんは、
寒い冬もずっと家で閉じこもっていました。

思い出すのはいつもDくんのことばかりです。

家にある食料は底を尽きかけていました。

Dくんと一緒じゃないから

もう楽しくないなぁ

と。

このまま

ずっと

ずーっと

家に閉じこもっていたい

思っていました。

そして雪もとけ、

春の季節がやってきました。

つくしんぼやたんぽぽ、

ヨモギなどいつもの顔ぶれが

Cさんを迎えてくれていました。

と、そこに、
見慣れない植物が混じっていました。

何だろう?

と疑問に思いながらも

そのまま過ごしていました。

夏。

春に見た謎の植物が大きく成長し始めました。

花が咲き、実がつき始めました。

Cさんはあることに気がつきます。

あれ?これどっかで見たことある。
このフォルムはもしかして・・・
かぼちゃ??

そうなのです。

春先に見つけていた謎の植物は
かぼちゃ」だったのです。

でも
どおしてここにカボチャが生えてるの?

と疑問に思いながらも

Cさんは涙を流しながら喜んでいました。

それは、
お腹を満たすための食料が
手に入ったからではありません。

大好きなかぼちゃを
食べられるからでもありません。

Dくんと一緒にかぼちゃを食べた

倖せな日々を

思い出していたからです。
 

初めてのデートの日のこと。

Dくんが必死になって
かぼちゃを取って来てくれた日。

全然熟成していなくて超まずかったこと

でもそれはそれでいい思い出だったこと。

大雨の日のこと。

Dくんが水たまりに落ち込んで
一緒に大笑いしたこと

流れ星が綺麗だったこと。

お月見をしながら
かぼちゃ団子を食べたこと。

冬は冷え性で大変だったこと。

でも

そのおかげで

Dくんの温もりを知ることができたこと。

かぼちゃにもいろんな形や味があること知り

かぼちゃウィンドウショッピングをしたこと。

二人の好きな味は違うけれど
 
代わりばんこで

お互いの好きなかぼちゃを

味わっていたこと。

そして、

あの日のこと。

あの日はCさんが好きな味のかぼちゃ畑で

食べていたところでした。

いろんなことを思い出していました。

そういえば、、、

綺麗に管理されているかぼちゃ畑の他に

残飯を捨てている畑からも

かぼちゃが育っていたことを覚えているわ。
 
 
そこにあるかぼちゃを食べても
人間は何もしなかった。

かぼちゃのワタを畑に捨てると
そこから勝手に芽が 
出てくることは日常茶飯事でした。

そのくらい芽を出す力が
 
 
かぼちゃには備わっているのです。

Cさんの家のかぼちゃは、おそらく

糞に紛れ込んでいたタネが

発芽して育っていたのでしょう。

どこにもいなかったDくんが

こんなところにいてくれました

それから、

Cさんはかぼちゃをずっとずっと
大切に食べ続けました。

私は一人じゃないんだ。

かぼちゃをみれば
Dくんと一緒に居る気持ちになれたのです。

時は流れ、

人間界では戦争が始まり、

食べるものに窮していました。

山の中にも食料を探しに人がやって来ました。

「おい!
 ここにでかいイノシシがいるぞ!」

Cさんはお昼寝をしていました。

バン!

人間は鉄砲で撃ちました。

Cさんは死んでしまいました。

「このイノシシ何かを抱えているぞ」

「こっ、これは・・・?」

Cさんは今晩のおかずに

かぼちゃを食べようと

大切に抱えながら昼寝をしていました。

人間界では

かぼちゃは伝説の食べ物に

なっていました。

なぜなら、

戦争が始まってすぐ、

パニックになった人々が

あらゆるかぼちゃを食べ尽くし

その姿を消していたからです。

タネまで食べてしまっていたので、

かぼちゃは人間界から姿を消していました
 

 
イノシシを発見した人は良識ある猟師でした。

お肉をみんなに平等にわけ、

かぼちゃも分けました。

そして、

かぼちゃのタネを一人づつに配り、

大地にまくように

言いました。

戦争の真っ最中です。

しかし、

かぼちゃにとっては

関係ありませんでした。

芽が出てかぼちゃが育ち始めました。

人々はその成長を見守るのが

面白くて面白くて

たまりませんでした。

そして、

いつしか戦争をやめ、
 
 
他のみんなのかぼちゃの出来具合を

確認し合っていました。
 
 
栽培技術も復活し、

畑で立派に実るようになりました。

そしてある日。

「見てみろ!」

「イノシシが畑にやって来ているぞ!
 二頭も!」

 

「こいつらか!
 我々の大切な食べ物を荒らしにくる奴らは!」

「今日こそ成敗してくれる!!」

二頭のイノシシの姿を見ながら

鉄砲を構えた農夫は

幼い時に聞いた

【イノシシの話】

を思い出していました。

遠い遠い昔からかぼちゃは

栽培されていたこと。

その時も

イノシシの被害に悩まされていたこと

戦争で一度は

かぼちゃの姿が消えてしまったこと。

でも
あるとき誰かがタネを持ってきて
 
 
復活したこと。

誰がタネ持ってきてくれたかは

忘れてしまっていました。

なにせ、遠い昔の話です。

私が今、読んでいる

【イノシシの話】

鉄砲を持った人が

引き金を引いたかどうかまでは

書かれてありません。

でも

最後に一言だけ

鉄砲越しにイノシシを観ていた

農夫の言葉が

添えられていました。

「もしかして
 
 君たちはあの時の・・・」

お終い

最後までお読みいただき
ありがとうございました。