貴殿は、じゃがいもの王様として
日本に根付いております。


 
ゆえ、今年度、当農園にもその
勢力を伸ばしたわけであります。
 
 
しかし、悲しいかな
 
 
私が設置したイノシシ避けの柵に
不備があり、
 
 
イノシシの侵入を許してしまいました。
 
 
その結果は、
言葉にするまでもないでしょう。

 

私の実力不足で本当に申し訳ないことを
してしまいました。
 
ただ。

貴殿のおかげで、

もう一つの品種、
アンデスレッドは無傷なまま
収穫を迎えることができました。
 
 

あの事故の後、私は柵を強化し、
2度とイノシシの侵入は許すまい
と誓ったのであります
 
 
この手紙が天国のあなた
に届きますように。
 
 
あ、そういえば、
 
 

なぜじゃがいもに
『男爵』という名前がついたのか

調べておりましたら、
 
 
少しさみしい話を耳にしました。
 
 
貴殿はその物語を知っておられると存じます。
 
 
しかし、まだその物語を知らず、
 
 
じゃがいもを頬張る人間も多数おります
 
 
もちろん、私もその一人でした。

ただ、私は、その物語を知った以上、
皆様に知らせなくては
ならないと思い、
 
 
貴殿宛ての手紙にもかかわらず
 
 
貴殿が知っていることを貴殿宛てに
書くという謎の手紙スタイルを取らせて
いただいています。
 
 

あの時(じゃがいも栽培本格化)から100年以上の
時を得て、現在、
インターネットというものが
誕生しております。
 
 
これは画期的なアイテムでございまして、

あ。
アイテムというのは、
道具のことでありまして、
 
 
地球の裏側にいる人間にも
この手紙が一瞬にして
 
 
シェアできるということです。

あ。
シェアと言いますのは、
『思い出の分かち合い』
のことでございます。
 
 
ですから、
あなたが
日本に普及するまでのお話を少し書かせてください。

あなたは、
川田さんという方が北海道函館で広めたそうですね。

元々は、
アメリカの
「アイリッシュコブラー」
という品種だったそうですが、
 
 
川田さんが川田男爵と呼ばれていたこともあり、
 
アイリッシュコブラー
→男爵
と進化したそうですね。
 
 

【ではなぜ、

 川田男爵がじゃがいもを栽培しようとしたか

 知っていますか?】

 
 
川田男爵は若かりし頃、

イギリスに留学をしていました。

 
そこでお付き合いしていた女性・ジェニー


(イメージ図)

さんがおりました。
 
 
川田さんとジェニーさんとのデートスポット
の一つがであったそうな。

二人で仲良く、畑を眺めていたり、

じゃがいもを食べたりしていたようですよ。

そして、結婚を約束に、
川田さんは日本に帰ります。
 
 
ところが、
川田さんがイギリスに留学していたのは

100年以上前の話。時代が時代であったため国際結婚は

大きな反対にあい、実現できずにいました。

その後、
川田さんは日本人女性と結婚しています。

しかし、

やはり、なんか、そういう理由で別れた

恋人のことを
そう簡単に忘れ去ることなどできるものでしょうか?
 
 
いいえ、
できるものではありませんよね。
 
恋文というものはいつまでも
大切にしまっておきたいものです。
  
そして、もう2度と叶わぬ恋を
時々振り返るものなのです。
 
  

川田さんの心の中には、
ジェニーさんがずっと居たことでしょう。

彼の死後、金庫にジェニーさんとの
恋文が90通以上も保管されていたそうです。
  
やっぱり、いつの時代も恋文っていいですよね。
 
実は私も恋文が好きなのです。

ラインとかメールとかじゃなくて、
電話でもなくて、
直接会って話すことでもなくて、
 
 
【恋文の恋文による恋文のための恋愛】
 
 
がこの世には確実に存在しています。

あ。
ラインとかメールというのは(中略)
 
すみません、
つい話がそれてしまいました。
 
 
そうですよ、
川田さんもジェニーさんともう一度
デートしたかったはずなのです。
 
あなたのことが 
嫌いだ、
もう好きじゃない、

から別れよう
 
ではない別れ方を余儀なくされたのです。
 
トドメの一撃

「あなたのことが好きじゃない、嫌いだ」
 
と言ってくれれば、こっちもこっちで

「よし、わかった、」と納得し、

君の前から姿を消すのは容易なのです。
 
 
けれど、
 
ん〜、私より絶対いい人がいるよ!
 
となんともいえないことを別れ言葉に言われると、
 
 
『そ、そうかな、、』
 
 
ってなるのが一般常識というものです。

 
川田さんは、
時代に反対されたようなものですから、
 
============================

あぁ、あのじゃがいも畑の眺めよもう一度。

あの素晴らしい恋をもう一度。

もう一度ジェニーと畑でデートがしたいんだ!
 
============================
 

と心の中で思い描いたに違いありません。

函館に足を運んだ際、

「この大地をあの景色に」

を決意をし、外国からいろんな種類の

じゃがいもを取り寄せ、

その栽培を成功させたようです。

恋のパワーはすごいですね。
 
 
現代は、先に申し上げた通り、
 
いつでもどこでも誰とでも
すぐ連絡が取れます。
 
しかし、その便利さにあぐらをかいては
いないでしょうか?
 
「いつでも話せる」が
「もう2度と話せない」になる前に

当たり前が知らぬ間に消えてしまう前に。。。
 


 
 
そういえば、
イノシシって海を渡るそうですよ。

イギリスにイノシシがいるかは謎ですが、

遠く彼方から

貴殿に会いたくて、ジェニーさんが

イノシシに変身しているのかもしれないですね。
 
 
とか言ってみたり。
 
 
では、今宵もごゆるりとお休みください。

また来年会えることを楽しみにしております。

最後までお読みいただきありがとうございました。

まなべ農園 真鍋和孝より

参考サイト:男爵いもは恋の味http://www.danshakuimo.com/history/index.html