今回は、
遺伝子組み換え作物を栽培したい農家さんの声
をビデオ形式にてお届けする。

*ビデオ公開の許可は得ています*
*公開に至る詳しい経緯は↓各記事
をご覧ください*

 

[part1]ビデオ公開に到るまでの過程

https://mana-park.com/gmos-farmers1

[part2]反対したいから反対したい人へ

https://mana-park.com/gmos-farmers2

[part3]なぜ文字ではなくビデオ公開なのか?

https://mana-park.com/gmos-farmers3

[part4]遺伝子組み換え作物を栽培したい農家さんの声をお届けします

https://mana-park.com/gmos-farmers4

 

ー今回の投稿の目次ー
(クリックすればその箇所にジャンプします)

はじめに
大豆農家宮井能雅さんの声
甜菜農家小野寺靖さんの声
結び

 
はじめに

この文章を書いている時点(July 2019)
日本国内で

遺伝子組み換えダイズ
遺伝子組み換え甜菜

の商業栽培はされていない。
 
全国に200万戸ある農家で

誰一人として遺伝子組み換え作物を
栽培していない。
 
その一方、

日本には遺伝子組み換え作物が輸入され
家畜の餌や食品などに利用されている。

 


2017
年日本に輸入されるダイズ3,219千トンの内
約94%、3,014千トンが遺伝子組み換えダイズであると
推定されている。ーバイテク情報普及会(https://cbijapan.com/)より

 


また、

アメリカで生産されている甜菜(シュガービート)の栽培面積の
98%
が遺伝子組み換えされた品種の甜菜である。
(西尾道徳(2019) 検証有機農業:グローバル基準で読み解く理念と課題

 農山漁村文化協会

 

食料として大豆を利用する傍ら、

日本では商業栽培されていない現実。
 

アメリカではほぼ100%近く遺伝子組み換え甜菜が

栽培されているのに日本では栽培されていない現実。
 
 

私は

食べているのに自国では栽培されていない

他の国では広まっているのに自国では広まっていない

このような状況が大変不思議で面白く感じる。
 

そして、「なぜ?」という疑問を持ち

自分なりに解決していく作業が好きだ。
 
 

・締結している条約の違いだろうか?

・法律の違いだろうか?

・宗教観の違いだろうか?

・経済的な事情なのだろうか?
 
 

色々と仮説を立てて

あーでもないこーでもないと

考えるのが面白い。

ただ、風呂敷を広げすぎると迷子になり

また考えるのが億劫になる。

その事態は避けたいので

あまり難しいことは考えすぎず、

純粋に自分の出てきた疑問を

一つづつ解決していくことにした。
 

その前に私が何者であるか改めて自己紹介しておく。

私は無農薬で野菜を栽培している農家である。
(屋号:まなべ農園(2018年開業)
 所在地:長野県上水内郡小川村
 圃場面積:3反歩~4反歩
 栽培作物:さつまいも、トマト、など10種類

小さな圃場でちまちまと畑を耕している

小さな農家の新参者が遺伝子組み換えに興味をもち

なぜこうして文字を書いているのか。
 
 

先に申し上げるが、

農家だから〇〇だ。

というレッテルに私は興味がない。

私は農家でもあるが消費者でもある。

消費者でもあるが地球に住む人間でもある

 

一人の人間として自分の抱いている疑問は

他の誰かも疑問を持っている

と考えるのが私の信条である
 

そしてその疑問を共有し、

共に解決していく作業が

人類の知を向上させ

より良い社会を築くと信じている。
 

だから、この文字を書く作業も

野菜を栽培するのと同じくらい

大切なものである。
 

私は冒頭で申し上げた不思議現象を

少しでも解決したいのだ。
 

さらにいうのであれば、

オーガニック業界の

嫌われ者の遺伝子組み換え作物が

嫌われ過ぎていることに不自然さを感じたこと

正直に申し上げる。
 

なぜこれほどまでに嫌われているのか?

モンサントを合言葉に

反遺伝子組み換え作物を主張する。

そして、

その大嫌いなはずの遺伝子組み換え作物を

食べている現実

自分が食べるものに嘘はつけない。

この状況も大変面白いのである。

 

なぜ不安なのか?

なぜ嫌いなのか?

この問いに対し、

不安だから不安

嫌いだから嫌い

という、根拠のない主張が繰り返される

状況にはもううんざりした。

 

言論の場に不安や恐怖などの感情は必要ない

ただただ言葉を並べて

その言葉の中で考える作業をすればいいのだ。

不安になるのはその後で十分間に合う。

 

私たちに必要なのは、

遺伝子組み換え作物を感情から切り離して観察し、

これからどう付き合っていくのがベストなのか

一人一人が考え、行動する姿勢だ。
 

現実を観て、

遺伝子組み換え作物だめだ

というのであればそのようなアクションを取ればいい。
 

遺伝子組み換え作物いい

というのであればそのようなアクションを取ればいい。
 

ただそれだけの話。

現状分析が先にあるのに、

オーガニック業界では、

現状を伝えることを怠り、

不安と恐怖との感情を煽り、

無知な市民を対象

オーガニックの商品を買わせる手法が蔓延している

私は不健全なオーガニックは大嫌いである

もちろん、すべての人がというわけでない。

一部のオーガニックマニアが遺伝子組み換え作物に

対して不健全な情報を垂れ流しているせいで、

真っ当なオーガニックマニアも被害を受けている
 

私はそんな世界が嫌いだ。
 
 

と、

不健全なオーガニック業界が大嫌いだと述べる


私は、無農薬で野菜を栽培している。

私のような人間(遺伝子組み換え作物の嫌われ方が
不自然すぎると考える者)は

そのような業界からすれば

不健全に見えているだろう

 

これもまた面白いのである。

このやうな人間が書く文章である。

どうか優しい目で見守ってほしい。
 
 

と調子のいい言葉を並べるのもここまで。

昔の私に投げかけたい言葉があるとすれば、

現実から目を背けるな、感情論に振り回されるな

だ。

現状を見ることもせず

ただなんとなく不安を感じていたあの時の

自分自身に向かってそんな言葉をかけたい。

 

振り返れば、
あの時は自分らしくなかったと思う。

「遺伝子組み換え」というレッテルで

その善悪を判断していたのだから。
 

その態度を変えるきっかけとなったのが、

2016年夏、日本モンサント株式会社(当時)

が主催する遺伝子組み換え作物見学会へ参加したことである。

https://kyodonewsprwire.jp/release/201506090956

 

もっと正確に言えば、

このイベントに参加しようとした時から

自分とは反対の意見にも耳を傾ける大切さ

実践しようとしていたのかもしれない。

その後も2017年、2018年と参加し続け合計、三回

遺伝子組み換え試験圃場を見学した。


そこで目にしたのは、

日本で食事をとる限り

遺伝子組み換え作物の恩恵はどこかで

受けているという現状である。
 

自分が嫌いだったはずの遺伝子組み換え作物が

私のこれまでの食事を支えてきてたという

事実がそこにはあった。
 

1991年生まれの私は、幼い頃から遺伝子組み換え作物の

影響を受けて育ってきた遺伝子組み換え世代である。

この事実にどう向き合えばいいのだろう。
 

もしかしたら、

私は遺伝子組み換え作物のことが

嫌いではなく好きなのかもしれないと。
 

いや、そんなことはない。

そんなはずはない。

私は遺伝子組み換えが大嫌いなんだ!

と感情を高ぶらせて必死で否定しようとする

自分に

「なぜ、自分はここまで必死になって否定しているのか?」

と問いかけた。
 
 

もしかしたら、

本当に私は遺伝子組み換え作物のことが好きなのかも

しれない。

小学生の頃を思い出した。

本当はあの子のことが好きなのに

嫌いだ!と言って消しゴムを隠したりする。

『あの子のこと好きなんでしょ?』

と聞かれれば

「はぁ?嫌いに決まってんじゃん!」

と必死に抵抗するだろう。

本当は好きなのに。

好きだからこそ怒る。

好きだからこそ感情が高ぶる

私はちゃんと認めることにした。
 

自分は食いしん坊で

アイスキャンデー、お菓子、お肉、、、

美味しいご飯、が大好きである。
 
 

日本で食べ物を食べる限り、

消費者、提供者、そんなの関係なく

食べ物を食べるという行為自体が

遺伝子組み換えと関わりを持つことを認めざるを

えなかった。

 

私は全てが有機農業に置き換わればいいと
は思っていないし

同様に

全てが遺伝子組み換え(バイオテクノロジー)農業に
が置き換わればいいとは

思わない。
 
 

私が望む理想の世界は

農家が栽培したいものを

栽培し

消費者が食べたいものを

食べる

という人間として至極当たり前の

ことが実現されている世界である。

だから、
 
 
私は栽培するし食べる。
 

自分の理想の世界へ少しでも近くために。
 
 

私はこの文章を読んでいる方が

推進派であれ反対派であることに

関心をおいていないし、

その意見を変えるべきだとも思っていない。

そんなことは、どちらでも良い
 

科学は遺伝子組み換えの仕組みを発見した。

それを技術として最終的に使うのは

人間だ

目的があってこその手段である。

まずは理想の食の姿を思い描くこと。

どういった類の食世界を望むのか

これを自分で考えることなしに

遺伝子組み換えは語るべきではないのだ。
 

今日食べた食事が食欲を満たすだけではなく、

未来の食のための一食だ!

と確信を持って言えるだろうか?
 
  
 

私たち一人一人の今日食べた

食べ物。

それが全てを物語っている

自分が食べてきたものはデータであり、

事実である。

そこには何の偏見もない。

 

 

 

ビタミンCを発見しノーベル医学者賞を受賞した

A.セント-ジェルジ氏の

言葉を引用し、この前書きを終える。

 

科学的思考法とはすなわち、

まずデータを集め、
 
偏らない心と冷静な頭脳をもち、
  

小範囲の関心や、
 
恐怖・憎悪といった感情に偏向されることなく

データを組み合わせて最善の答えを見出せということです。
 
 
科学は、単なる考え方よりさらに大きなものです。
 
 
科学は、その姉である芸術と共に、

時間と空間を超越した知的共同体による無私の

共同作業の産物です。
 
私はこの共同体の一員です。
 
 
この共同体の基本的規則は、知性にもとづく誠実さ、

平等、相互尊重です。
 
 
この規則は、我々をモラルの世界へ導き、

それこそが、よりよい未来に連なる橋となるのです
 
 
(科学・倫理・政治 ー動乱に生きた一科学者の省察ー
 A.セント-ジェルジ著 小川豊訳 岩波書店 より)
 

 

 
 
私は地球の住人の一人として

ただ今日も一日を過ごしたい。

 

 

北海道長沼町
 宮井能雅 さん 大豆・小麦農家

 

 

 

北海道北見市
小野寺靖さん 甜菜農家 

 

 

結び

 

これまでの遺伝子組み換えに関する投稿を

振り返ってみると4万〜5万文字以上書いていた。

試験圃場への見学、北海道農家さんのもとを訪ねる、

映画(Food Evolution)を上映するなど、
 
新規就農した有機農家の中でも

遺伝子組み換え作物についてここまで真摯に向き合っている

者は少ないと思う。

私は、野菜を生産することも仕事であるが、

このまなべ農園のサイトを通じて、

人間一人一人のメディアリテラシーの向上に

貢献することも仕事の一つであると考えている。

もちろん、

人に貢献する前に自分がそうであらねばならない。

 
私一人で運営している農園の生産量は限界がある。
 
農家にもそれぞれ役割があって、

たくさんの野菜を供給してくれる者

もいれば、

野菜を使って自分の信念を伝えたい者

もいる。

私は後者である。

正直言って、私が後者でいられるのも

前者の

大規模でたくさん野菜を生産してくれる農家さんが

日本だけではなく、

世界中にいるから実現できている

私は相互的な関わり合いを持って生きたい。

自分のところでは実現できないこと。

逆に大規模農業では手の届かない

細やかなところ。

タネを採るのも
たくさんの品種を栽培するのも
農薬を使わないのも
遺伝子組み換え作物を食べるのも

全て自分の信念に基づいているからである。
  

最後までお読み頂きありがとうございました。

また、ご多用の折、

聞かせてくださった宮井さん、小野寺さんに
改めて感謝申し上げます。

今回は、ビデオをサイトに載せただけですが、
お二方の言葉の背景にあるものを
説明する投稿もしていきます。

本当にありがとうございました。

北海道への渡航費など、
お金面でカンパしてくださった方々、
重ねて御礼申し上げます。
 
これからも美味しい野菜のために
正しい知識と情報とを仕入れ続けます。
 

追記:

これから実現したいこと

・ディベート
https://www.intelligencesquaredus.org/debates/genetically-modify-food
↑アメリカのディベート番組のような形で
賛成・反対に分かれて議論し、観客にジャッジしてもらう形式。
リンク先は2014年放送。最終的に
賛成→60%
反対→30%
決めかねている→9%
と結果がでた。

私の知っている限り、
日本でこういった番組は見たことがない。

 観客200〜300人
スピーカー:賛成三人、反対三人
で討論しあう場が一度くらいあっていいのではないか?

まなべまなべ

この記事を書いた人
1991年香川県生まれ。2018年まなべ農園(長野県)を開園。
さつまいもが好き。
経営理念:全ては美味しい野菜のために